今回は、「デジタルフォトマネジメント」というテーマで、おすすめの関連製品を紹介しました。
ひとつめに紹介したのは、カラーマネジメントに関する製品で、「huey(ヒューイ)」という製品です。hueyは、製品や個体ごとに色合いが異なるディスプレイの色補正をするためのツールです。従来のプロ向け製品に比べると、安価かつ簡便なツールですが、環境光なども考慮して補正するため、より適切な色合いで画像データを見ることができるようになります。
適切な光源、カラープロファイル設定、プリントプロファイルと用紙の組み合わせ、高性能なRAW現像ソフトウェアなどを選んでも、ディスプレイの色がずれたままでは意味がありませんので、コンシューマ向けの製品が登場したのは喜ばしい限りです。
なお、Intel Mac対応ドライバも、メーカーサイトからダウンロードできるようになっています。
ふたつめは、RAWデータの管理について取り上げ、市川ソフトラボラトリー社の「SILKYPIX Developer Studio 3(シルキーピックス デベロッパー スタジオ 3)」を紹介しました。SILKYPIX 3は、今年5月の例会でも開発中の公開ベータ版を紹介しましたが、ファイナルになってユーザーインターフェースなども劇的に使いやすくなりました。
5月に紹介した時点から追加された点として、まず「テイスト」機能があります。これは現像のパラメータをプリセットにしたもので、メーカー8種類のテイスト用意されています。また、ユーザーテイストも保存することができるので、よく行う調整パターンを保存しておき、写真にあわせて各パラメーターで微調整を加えるといったことも可能です。
次に、RAWイメージのみならず、JPEGやTIFFイメージも扱えるようになりました。一部制約があり、RAW現像処理に固有の操作はできないのですが、これまではRAWファイルしか処理できないのがSILKYPIXの弱点だったので、利用範囲が大きく広がりそうです。
この他にも、新しいシャープネス処理をはじめ、細かな改良が多数加えられており、非常に手軽に納得いく現像処理ができるようになったというのが個人的な印象です。フリー版、試用版も配布されていますので、ぜひ一度触ってみてはいかがでしょうか。
最後に、写真データの総合管理ソフトウェアとして、今回のメインとなる「Aperture(アパーチュア)」の紹介を行いました。Apertureは、先日、ドイツで行われた写真の総合展示会にあわせ、バージョン1.5が発表されたばかりで、待望の日本語対応も行われました。
既存のApertureユーザには無償アップデートが提供されているので、マイナーチェンジかと思いきや、RAW現像、カラー補正、データの管理の機能など、至る所に変更が加えられており、大幅に使いやすくなりました。
特に便利なのが、写真データを外部ディスクに保存し、「参照」できるようにする機能で、ローカルにはプレビュー・共有用データを残しておけるので、ハードディスク容量が大きくはないモバイル環境においても、大量の写真データを扱えるようになりました。
さらに、この機能を使うと、外部のデータは通常のフォルダ/ファイル構成になるため、気になるRAWデータだけをSILKYPIXで別途現像するなどの組み合わせ技も可能となる(SILKYPIXもApertureも現像データは別ファイルとして持っている)ため、利用範囲が大幅に広がります。
また、プレビュー・共有用データを持つようになったことで、動作が全般的に軽くなり、特に検索などを行う際に著しく体感速度が上がりました。MacBookでもかなり快適に使えるようになったという印象です。
新しいカラー補正ツールも使いやすく、Photoshopでは「色相・彩度」、SILKYPIXでは「ファインカラーコントローラー」という機能がありますが、それと似たような機能で、6つの色域の色合い、彩度、明度を個別に変更して、目的のイメージに近づけることができるようになりました。
他にもすべてのIntel Macに正式対応したこと、補正プリセットを作成できるようになったこと、iWork、iLifeとライブラリが共有できるようになったこと、新しいエッジシャープが搭載されたことなど、あらゆる面で強化されていて、他にはない優れた写真管理ソリューションになっていると実感しています。
なお、Apertureは「JPEGと同じように簡単にRAWを取り扱える」のがキャッチフレーズになっていたので、扱えるデータはRAWデータだけと思われがちですが、JPEGなどの取り扱いも可能ですし、iPhotoからのインポートもできますので、これまでiPhotoを使っていて、もう少し凝ったことをやりたいと思った方のステップアップにもなると思います。
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