 先月入会の山本先生が、先日のオリジナルシステムとは別に開発中の電子カルテシステムを紹介してくれました。以下ご本人からいただいた抄録です。
平成16年から17年にかけて、都立5病院が電子カルテ化され、その一つ広尾病院では端末台数700台と数十台におよぶサブシステムが導入される予定である。医事会計およびオーダーリングシステムを発祥とする医療情報システムは、電子カルテ本来の機能であるが、もっとも重要なプログレスノート記載部分に不満、不備が散見される。
そうした電子カルテの現状を踏まえ、外来小児科学会有志による開発中のオープンソース電子カルテシステム「ANNYYS」を紹介した。ANNYYSは操作性と情報のコード化、普遍化を念頭に、入力操作から得られるメタ情報に着目し、情報のグループ化(セグメント化)を行い、問題別、時系列別に診療情報を二次利用できるようにした。同時にカルテの一覧性を高め、スキミング(高速参照)を可能としている。
例えば診療項目のマスター化によって、網羅的な情報入力を促した。また、Problem別にSOAP形式で記入するときの、挿入操作や編集作業、あるいはカレンダー参照操作によって、項目に時系列情報や関連、版管理情報を付加した。追跡項目を患者別にマーキングし、記載情報をコード化および修飾し、データマイニングも可能とした。
このような機能と、ユーザーオリエンテッドなインターフェースを両立するため、ANNYYSはクロスプラットフォームであるFileMaker Proで作成され、構造化されたリレーショナルデータベースとして作成されている。またオープンソース医事会計システムORCAとの連携も可能である。特に今回は演者の担当したプログレスノート記載部分をデモンストレーションを交えて説明した。
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